INTERVIEW

株式会社アルゴノゥト 苑田譲治/投資だけではないアンティークコインの魅力とは

現物投資のひとつである、「アンティークコイン」。資産形成の観点だけではなく、その美しさなどから、近年、富裕層を中心に人気を集めているという。

アンティークコインとは、『ヨーロッパやアメリカをはじめとする世界各国で流通している「古銭」のこと』。『一般的にアンティークコインと呼ばれるものは100年以上前に発行されていたもので、つまりはそれだけ歴史的な価値があり、その点が投資価値のベースになっている』とされる。(引用:三菱地所リアルエステートサービス「The Watch」

今回話しを聞いたのは、次々と多くの事業を精力的に手がける一方で、日本のアンティークコイン投資家としても知られる、事業家・苑田譲治氏。

苑田氏が感じるアンティークコインの魅力、資産としての位置づけなどについて、話しを聞いた。

苑田譲治

株式会社アルゴノゥト 代表取締役
合同会社IX(イクス) 代表社員

23歳で先輩経営者と初の会社設立を経験。
その後、自分で立ち上げた会社にてエステサロンを創業。その後、有料老人ホーム、デイサービスの立ち上げを経て幼児教室コペルに加盟。
現在は幼児教室事業は委任し、リュクス商財ビジネスの構築や経営者向けコミュニティを構築中。
事業継承者のビジネスや資産のポートフォリオ形成を伝える活動も精力的に行う。

震災をきっかけに出会った、アンティークコイン

ーアンティークコインへの投資を始めたきっかけについて、教えて下さい。

苑田氏:きっかけは、2011年3月に発生した、東日本大震災です。当時、家業が福島県で高齢者施設を展開していたのですが、事業戦略も大幅に変更せざるを得ませんでした。

この地震を経験したことで、いざというときに容易に持ち運びができる現物のポータブル資産を持っておきたいと思ったんです。

現物資産といっても、ワインやアートは気軽に持ち運びは出来ないし、管理に場所も必要になる。ちょうどそんな時に、知り合いからアンティークコインのオークションに誘われたのが、一番最初のアンティークコインとの出会いです。コインなら場所もとりませんし、持って逃げることもできますからね。

ーそのオークション以来、アンティークコインへの投資を増やしていったんですね。

苑田氏:最初はオークションで購入して、その後興味を持ってアンティークコインについて自分でも調べてみたんです。資産としてもいいなと感じ、今のところ自分の投資のメインになっているという感じですね。アンティークコインがポートフォリオのメインになっているという人はあまりいないのではないでしょうか。投資配分からいくと、異常かもしれません(笑)。

現在は、個人として購入しているほか、ビジネスとしてもコイン商とアライアンスを組んでいろいろとやっています。仕入れというところまではしていないのですが、興味をお持ちの方に紹介して、売れたらレベニューシェアをいただく形でやっています。

ー苑田さんご自身が感じる投資観点で見たときのアンティークコインの魅力とは、どんな点でしょうか?

苑田氏:僕がいいと感じるのは、まず値下がりしづらいという点。専門の業者の方に聞くと、基本的にはほとんどのコインが値上がりしていくと言っています。もちろん投資なので100%はありませんが、自分の場合、持続して持っているものは基本的に値上がりしていますね。

アンティークコインも、例えるならベンチャー株と大手株のようなものがあって、僕は有名なものしか購入していないんです。

掘り出し物を当てて10倍を狙うというよりは、コツコツと上がってってくれればいいなという感じで楽しんでいます。

それから、どのコインも、値上げ率はそんなに変わらないとも言われます。自分で全般の市場を見ているわけではないのでわからない面もありますが、オークションに出てくるようなものは大抵上がっていますね。むしろ、今上がりすぎて買いづらくなっています。

ここ数年は現物資産が軒並み値上がりしているので、この状態を通常ととらえてよいかどうかは正直わからないですね。

数万円から億を超えるものまで、未経験でも始めやすいアンティークコイン投資

ー一般的には富裕層の方の投資対象というイメージがありますが、実際にはどうなんでしょうか。

苑田氏:いや、安いものは数万円から購入できますし、誰でも参加できる市場だとは思います。アンティークコイン専門のオークションもありますし、売買できる業者も大手どころが数社あるので、仕組みが整っているんです。経験のない方でも比較的始めやすいかなとは思います。

あとは、日本ではあまりアンティークコインをやっている人がいないので、話しのネタになる、というプラスもあるかもしれません。自分の場合も、経営者の知人と話す際にコインの話題を出すことがあるのですが、皆さん興味を持って聞いてくださいますね。経営者仲間の間ではすっかり「アンティークコインをやっている人」になってしまいました(笑)。

ーアンティークコインの値段が高い・低いというのは、何に基づいて決まるものなんでしょうか。

苑田氏:基本的には枚数、レアリティです。本当に貴重な高いものだと、億を超えるものもあります。

アンティークコインも絵画と同じで作家がいて、ごく稀に、有名なコイン作家が自分で作ったコインを他人に渡さずに、自分用として持っていることがあるんです。余りに良く出来たので、私物として所持していたんでしょうね。めったにありませんが、そういうアンティークコインがオークションに出品されたときはもうお祭り騒ぎになって、いくらでも値がつきます。

ー苑田さんご自身が売却したアンティークコインで、購入時よりも値段が大きく上がったものはありますか?

苑田氏:つい最近、5、6年前に200万円で購入したものを480万円で売却しました。ただ、僕自身はあまり売らず、淡々と決まったコインを買い増ししています。

アンティークコインは10~20%程度の、かなり高額な手数料を取られるので、頻繁に売買すると資産構築にならないんです。そのため、短期間で利益を確定したい方にとっては、投資対象としてはおすすめできないかもしれません。

この売却も、実際にどれぐらいで売れるのか試しに売ってみたというだけなので、結局売却したすぐあとにまたアンティークコインを購入してしまいました。

一期一会、思い入れと愛着…アンティークコインの魅力とは

「世界一美しい金貨」とも言われる、「ウナ&ライオン」(引用:BAM鎌倉「日本初英国アンティークコイン展」

ー苑田さんが感じるアンティークコインの魅力は、どんなところでしょうか?

苑田氏:僕の場合は、どちらかというと資産形成というよりは純粋にコインが好きで惹かれています。保有する喜びというか、美しさを見て楽しんでいるところがありますね。

本来コインって、長年保有して子どもに相続するようなものだと思っています。本当にレアなコインを持っている人は、死ぬまで手放さないのではないでしょうか。一回売ってしまうと、もう自分の人生では出会わない可能性が高いんです。売却するというのは、ある意味今生の別れなんですね。

ーやはり根底に「コインが好き」というのがあるんですね。

苑田氏:そうですね。先ほどお伝えした売却した際も、まるで子どもを嫁に出す気持ちになりました(笑)。ひとつひとつに思い入れがあって、愛着を感じています。

人によって異なると思いますが、やはり投資対象として利益を得られるかどうかという観点とは別に、コインそのものの美しさや、それにまつわるストーリーなどもアンティークコインの大きな魅力ではないでしょうか。

個人にとって真に価値あるものを提供し、人生を豊かに

ーお仕事としては、いろいろな事業を手がけていらっしゃいますが、今後の展望や広げていきたい分野などありますか?

苑田氏:国内限定ではなく、海外に広げやすいビジネスをやりたいと思っています。現在は、富裕層向けに刀やカラーダイヤを紹介する仕事に時間を割いています。

刀やカラーダイヤなどは、もう投資ではなく趣味としてのコレクションに近くなってきます。欲しいと思えばいくら出しても購入しますし、必要がない人が無理して買うものでもありません。お金を儲けたい人が買うものではないので、資産性というよりは、それらを気に入った方が、より人生を豊かにするために購入する、という世界です。

ー苑田さんご自身も、刀やカラーダイヤに対して魅力を感じるところがあるのでしょうか。

苑田氏:そうですね。僕が今売っているものは、すべて自分でも購入した経験があるものばかりで、自分で買ったことがあるもの以外は売っていないんです。自分なりに、なぜそれを欲しいと思ったのか、それぞれの理由があるので、その理由をお話して、同じく欲しいと感じていただいた方に手にしていただけるとうれしいですね。

昨年、株式会社アルゴノゥトを設立し、事業の一つとしてリュクス商品の代理販売を行っています。「リュクス」はいろいろな説明をなされますが、単なる高価な品ではなく、その人本来の価値観に基づいて見極めた真のぜいたく品、という意味を持っているんです。企業のサイトでは「目立たずにいる真の隠れた名品達に光を」とメッセージをつづっています。お客様それぞれが本当の意味で魅力を感じる良い品を提供し、皆さんの人生を豊かにできればと思っています。

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株式会社RUNWAYS
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